Juniper Cloud-Native Router
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5Gの導入に伴う課題により、業界はネットワークの見直しを迫られています。サービスプロバイダは、5Gを展開して拡張する際に必要となる拡張性、分散化、コストの要件を満たすため、スペース、電力、冷却能力が制限されるD-RANサイトにクラウドネイティブインフラストラクチャを統合する取り組みを進めています。さらに、5Gデータセンターを拡張してクラウドのハイパースケーラーと統合する場合、その環境にクラウドネイティブルーティングを導入するための要件が新たに加わります。Juniper Cloud-Native Routerは、サービスプロバイダが、クラウドネイティブ環境における設備投資と運用コストの削減と容易な導入を通じて、こうした課題を克服できるほか、物理とクラウドネイティブのハイブリッドネットワーク全体では、Junos OSとシームレスに統合した運用を実現します。
製品説明
5Gを追加する場合、基地局とユーザー間の距離要件が旧世代のテクノロジーと比べてかなり短縮されるため、サービスプロバイダによる大幅なネットワーク拡張が不可欠になります。このため、サービスプロバイダは、5G展開のための拡張要件を満たすために、ネットワーク設計を再定義する必要があります。拡張に要する設備投資と運用コストの両方を削減するため、RAN(無線アクセスネットワーク)を細分化し、5G RANデータセンターに求められる機能の一部をハイパースケーラーに委託しています。こうした変更を行うためには、物理ルーターとクラウドネイティブルーターを備えたハイブリッドルーティングインフラストラクチャを使用する必要があります。Juniper® Cloud-Native Routerは、サービスプロバイダが5Gを展開するうえで必要とされる柔軟性を備えています。
Juniper Cloud-Native Routerは、ジュニパーの実績あるルーティング技術に、Junos®コンテナ化ルーティングプロトコルデーモン(cRPD)とx86プロセッサ向けのContrail®データプレーン開発キット(DPDK)vRouterフォワーディングプレーンを採用した高性能ソフトウェアベースのルーターです。Kubernetesに実装されており、Kubernetes CNI(コンテナネットワークインターフェイス)フレームワークとシームレスに連携します。
Cloud-Native Routerは、コンテナの経済性とクラウドネイティブ環境固有の運用効率を最大限活用します。また、ソフトウェアベースのルーターは、ジュニパーの物理ルーターを補完し、スペース、電力、冷却に制限がある環境で、高度なネットワーク機能を実現するルーティングオプションを提供し、クラウドネイティブのインフラを構築します。このハイブリッドネットワークは、同じJunosオペレーティングシステムルーティングテクノロジーをベースとしており、単一のエンドツーエンドのエクスペリエンスを提供します。
ユースケース
RAN
5G RAN環境では一般的に、C-RANサイトとD-RANサイトが混在しています。C-RANサイトでは、帯域幅を必要とするフロントホール接続を使用しており、今後も物理ルーターを活用する予定です。一部の大規模なD-RANサイトでも物理ルーターが使用される場合があります。ただし、プロバイダは多くの場合、容易に数万単位に達する小規模なD-RANサイトを使用してユーザー数を把握します。
大多数のD-RANサイトにとってコストは重要な要素であり、設備投資と運用コストの両方を最適化する必要があります。プロバイダは、リースした小規模なサイトを利用することが多く、スペース、電力、冷却能力によってコストを削減するには限界があります。コストをさらに削減するためには、リースした回線を使用し、帯域幅の消費が少ないミッドホール接続を活用します。Cloud-Native Routerは、ODU(光チャネルデータユニット)と統合された既存の1 Uサーバーに、クラウドネイティブソリューションとして簡単にインストールできます。この設計により、サービスプロバイダのニーズを満たすために必要とされる、電力、スペース、冷却能力の大幅な削減を実現できます。
通信事業者のVPC(仮想プライベートクラウド)
5Gをサポートするためにインフラストラクチャを拡張していくと、無線サイトの増設が不可欠となり、データセンターの拡張が必要となります。ハイパースケーラーのパブリッククラウド環境にデータセンターを構築するという選択肢もありますが、現在のクラウドネイティブルーティングは、MPLS、QoS、L3 VPN、IPアドレス管理など、通信事業者のVPCに求められるルーティング機能を完全にサポートしているわけではありません。
Cloud-Native Routerが登場する以前は、VM(仮想マシン)内で仮想ルーターを使用する方法もありました。しかし、この方法は、真の意味ではクラウドネイティブではなく、管理が複雑であるなどの欠点があるため、ハイパースケーラーのネットワークには適していません。Cloud-Native Routerでは、こうした問題が解決されます。アプリケーションと同じサーバーでKuberneteのCNIとしてクラウドに直接統合され、クラウドネイティブのKubernetesコンポーネントとして管理できるため、よりシンプルに導入できます。また、通信事業者のVPCの要件を満たす高度なルーティング機能が統合されており、この環境におけるVMソリューションの欠点を解消しています。
アーキテクチャと主要コンポーネント
特長とメリット
CNIの機能を備えたJunos OSルーティング
クラウドアプリケーションに容易に統合できる、クラウドネイティブの高度な既製ネットワーキングサービスにより、開発期間の短縮と信頼性の向上を実現できます。
DPDKフォワーディングプレーン
Cloud-Native Routerには、業界で実証され、信頼性の高いパフォーマンスを実現するために強化された、高性能なContrail DPDKフォワーディングプレーンが統合されています。
コンパクトなフットプリント
Cloud-Native Routerは、コンピューティングを利用可能なところであればどこにでも導入でき、フラグメント化したリソースを活用します。このように柔軟性に優れているため、D-RANの既存のサーバーやクラウドデータセンターへのクラウドネイティブな導入に最適です。
シンプルな導入
Kubernetesに実装されたCloud-Native Routerは、Operations 1.0と2.0の両方の環境で稼働し、導入と管理のニーズを満たします。
- Junos OS CLIまたはNETCONF(Network Configuration Protocol)を使用するOperations 1.0
- KubernetesマニフェストまたはTerraformを使用するOperations 2.0
仕様
ハードウェアプラットフォーム
- x86—Intel
- NIC(ネットワークインターフェイスカード)—Intel Columbiaville E810(Westport ChannelとSilicom STS-2/4)およびIntel X710
- フォワーディング—2Pコア(シブリングを含めると合計4)
注文情報
Cloud-Native RouterのすべてのSKUは、高度なルーティング機能とRIB拡張を提供するAdvanced Tierに属しています。
特長:標準的なcRPDホストルーティングおよびパフォーマンスに優れたフォワーディングプレーン(ユーザースペースまたはハードウェアアシスト(SmartNIC))
拡張性:BGPピア、ECMP(等価コストマルチパス)、RIB(Routing Information Base)(別名ルーティングテーブル)拡張に制限はありません。
SKU | 説明 |
S-CRPD-10-A1-PF-1 | SW、cRPD、10GbE、パフォーマンスに優れた高度なフォワーディング、BGP、OSPF、IS-IS、MPLS/SR、IPv4/v6など、サーバー1台、SVCカスタマーサポートを含む、1年間 |
S-CRPD-10-A1-PF-3 | SW、cRPD、10GbE、パフォーマンスに優れた高度なフォワーディング、BGP、OSPF、IS-IS、MPLS/SR、IPv4/v6など、サーバー1台、SVCカスタマーサポートを含む、3年間 |
S-CRPD-10-A1-PF-5 | SW、cRPD、10GbE、パフォーマンスに優れた高度なフォワーディング、BGP、OSPF、IS-IS、MPLS/SR、IPv4/v6など、サーバー1台、SVCカスタマーサポートを含む、5年間 |
ジュニパーネットワークスについて
1000747-002-JP 2022年10月